山口輝臣編著『渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか』。


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 山口輝臣編著『渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか』(ミネルヴァ書房・2022年) 1300円

 新刊しか売っていなくて近所の図書館にもなかったので。宮崎虎之助への支援については誰触れていないが、渋沢の宗教支援の他の例を見ることで、得るものも多そうだ。

山本有三『欲生』など。

 元旦に年賀状とともに届いたのが、以下の本で、不穏の気配あり。

 岡田誠三『自分人間』(中央公論社・昭和52年) 300円

 第19回直木賞を受賞(1944年上半期)した作家による父・岡田播陽の評伝。大阪の奇人と言われる播陽だが、どう言っていいのか、生活能力のない小心者で、妻・玉の「大風に灰を撒いたようなお人」というのがさすがに的を得た評言で、家族や使用人は大変だったようだ。

 

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 山本有三『欲生』(叢文閣・大正9年) 函 600円

 

 状態良。戯曲集である。「嬰児殺し」を読んでみた。夫を亡くした後、土工として働き家族を支えていた女が、産まれた赤ん坊を殺してしまう話。赤ん坊がいると働けない、自分が働かないと家族は生きていかれない、という追い詰められた状況で、嬰児殺しをしてしまうのだ。現代の日本よりも悲惨な時代だとは思いつつ、この話以上の、赤ん坊や幼子にとっては悲惨な事件、この女とは比較にならない冷酷な親による虐待事件、殺人事件が起こっている今の日本は、いよいよ末法の世だと感じる。

倉田百三『恥以上』ほか。好書会(2023/12/23)。

 所用で池袋に行った帰りに向かう。西部古書会館。いつもより充実していたのではないか。

 倉田百三『恥以上』(改造社・昭和5年) 函欠 800円

 帆足理一郎『死生と宗教』(新生堂・大正14年・6版) 函 200円

 綱島梁川『病閒録』(金尾文淵堂・明治39年・5版) 函欠 200円

 鈴木俊郎編『回想の内村鑑三』(岩波書店・昭和47年・12刷) 函 150円f:id:shomotsun:20231223160337j:image

 函欠でも倉田の本は入手できてよかった。実はかなり迷ったのだけれど。表紙絵は河野通勢。見返しにも絵が描いてある。

 これでほぼ今年は終わりか。なんだか物足りない一年だった。思い出すままに、いつの間にか書棚に増えていた物たちを一部記しておく。高い本は省略。

 

 一柳廣孝『催眠術の日本近代』(青弓社・1997年) 1000円

 井上禅定『釈宗演伝』(禅文化研究所・平成12年・2刷)

 大西精一郎『死後の生命論』(中央出版社・大正13年) 函 200円

 大野勇二『魔的予言者とその追随者』(三修社・1978年) 300円

 小田晋『日本の狂気誌』(講談社学術文庫・2001年・2刷) 200円

 後藤亮一『創作 魔禅』(小西書店・大正12年) 函 300円

 隅谷三喜男賀川豊彦』(岩波現代文庫・2011年) 200円

 舩山信一『大正哲学史研究』(法律文化社・1965年) 函 200円

 古荘匡義『綱島梁川宗教哲学と実践』(法藏館・2022年) 777円

 三宅守『無我愛哲学の基礎的研究』(私家版・平成元年) 函 600円

 本川惟敬『十字架教』(十字架教会・明治44年) 2000円

 有門茂『創作 阿難』(新光社・大正12年) 函 320円

 吉田絃二郎『ダビデと子たち』(改造社・大正11年・4版) 函欠 100円

 和田修二・倉澤行洋『敵味方をこえて平和を織る』(燈影舎・2010年) 1000円

 

 

 

日置黙仙『悟つてから』。下町書友会(2023/12/22)。

 東京古書会館。初日の昼過ぎに向かう。

 日置黙仙『悟つてから』(光融館・大正5年) 函 300円

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 一瞬見落としそうになったが、見付けられてよかった。函入。「禅道叢書」の第五篇。

三好務『生の一路』、江原小彌太『野人』。西部古書展書心会(2023/12/03)。

 久々に高円寺に行きました。けっこう空いていた。アカシヤ書店、中央書房、新日本書籍の棚に宗教書が多い。

 三好務『生の一路』(荻窪書院・昭和3年) 函 330円

 帰ってきちんと見たら、バニヤン天路歴程』に基づく三好の講演を集めたもの、とのことで、少々がっかりする。

 江原小彌太『野人』上中下全三巻揃(越山堂書店・大正11年・重版) 函 1820円

 

 「日本の古本屋」で購入した。江原の自伝的な長篇小説。年末の楽しみとなった。が、函がものすごくきつくて、出し入れするとパリパリと音が鳴る。怖くなったので、書棚の飾りにしておく。

 

武者小路実篤『耶蘇』。趣味の古書展(2023/5/19)。

 お昼休みにざっと見て回る。久しぶりに趣味展に来た。何も買わないで帰るのもと思い、一点だけ購入。

 武者小路実篤『耶蘇』(新潮社・大正15年・改版) 函欠 800円

 装幀は河野通勢。「やそ」の文字がいい。私は中学から高校にかけて、読みもしないのに白樺派を馬鹿にしていた時期があった。あれはなんだったのだろうと思う。今は武者小路の本に奥深いものを感じ、感心しながら読んでいる。

 相変わらず会場で書痴が話している会話はおもしろい。今日は、元業者のような老人が、ある作家か大学教授か書痴の晩年の話をしていて、一時はその蔵書が七億円の価値があったという、本当かどうか分からない話をしていた。

 

永井美登利『いのちの法則』。Amazon(2023/5/17)。

 Amazonで購入しました。

 永井美登利『いのちの法則 一の数の不思議』(文芸社・2007年)。

 やはり永井義憲の子であった。あとがきによれば、義憲の死後にその著書に親しむようになったという。

永井美登利『いのちの法則 一の数の不思議』

 美登利氏は昭和10年生まれ。ご存命であれば御加賛を祈りたい。