永井義憲『一乗の進化』。ヤフオク(2023/5/14)。

  ヤフオクにて購入。

アサヒグラフ』昭和26(1951)年6月13日号 800円
永井義憲『一乗の進化 一名一乗立憲主義入門』(憲啓舎・1929年) 100円

畸人一覧

 表紙が奈良光枝の『アサヒグラフ』昭和26年6月13日号は特集の「半世紀畸人傳 五十年史」が目当て。「畸人」振りを示す簡単な紹介文があるだけだが、それぞれ写真付きなのがうれしい。収録されているのは以下の人びと。
 富岡鉄斎田尻稲次郎中江兆民斎藤緑雨宮崎滔天、児玉花外、黒岩涙香、林田粋翰長、和田垣謙三田中正造淡島寒月、野沢如洋、松崎天民大町桂月、岩元禎、三田平凡寺、野田大塊、坂本紅蓮洞、国分青涯、竿忠、南方熊楠中里介山辻潤、佐々木蒙古王、田淵仙人、坂田三吉添田啞蟬坊、望月軍四郎、登張竹風、上野山清貢、山崎今朝弥、宮武外骨永井荷風伊藤晴雨熊谷守一青柳有美武林無想庵中西悟堂、愚朗の39名。

永井義憲

 「一乗立憲主義啓導者」を自称する永井義憲(1889-1972)の『一乗の進化』。永井義憲(1914-2001)という大正大学教授、大妻女子大学名誉教授、真言宗豊山派日輪寺住職だった人物とは同姓同名の異人なので注意。他にも『一乗立憲主義指唱』『宇宙立憲義開道』『止れ雲上戦』『大勢機の洞観』『宇宙の不文憲法論』など著書は十四冊に及ぶ。探究すべき人物だろう。

 『いのちの法則 一の数の不思議』(文芸社・2007年)の著者である永井美登利というのは、永井義憲の娘である。「一乗」とは、おもに大乗仏教で唯一究極の理のことだが、「一」という数字に拘っている点に共通項がある。永井義憲『大宇宙の興汒は此一書にあり』(久保田美登利・1972年)に同年義憲が死去したことを伝えている。発行者・久保田美登利が永井美登利である。ちなみにこの本には東洋史学者の榎一雄(1913-1989)が序文を書いていて、永井を釈迦やヴィヴェーカーナンダ(1863-1902)に比肩する人物と讃えているのには驚いた。

 妹尾義郎(1889-1961)のように、仏教者の立場から資本主義を批判し、晩年には日本共産党に入党さえした人物もいるが、仏教的概念と立憲主義を結合させた点、興味深い。「一乗立憲主義」なにやら深遠な感じがしていいではないか。その意図するところをある程度理解するまで読んでいこう。

 合掌礼拝、である。

宮崎虎之助『神を成就するもの』ほか。BOOK & A 古書展(2023/5/13)。

 BOOK & A 古書展の初日。西部古書会館へ行く。
 鎌田東二『宗教と霊性』(角川選書・1995年) 350円
 小原國芳『秋吉台の聖者 本間先生』(玉川学園出版部・1930年) 函 300円
 宮崎虎之助『神を成就するもの』(平凡社・1929年) 函 500円

 「本間先生」とは、秋吉台の大理石採掘場で、不良少年たちと共同生活を送りながら青少年の感化事業を行っていた本間俊平(1873‐1948)のこと。
 『神を成就するもの』は自称メシヤ仏陀こと預言者宮崎虎之助(1871‐1929)が生前執筆した最後の著書である。昭和34(1959)年に、なぜか平凡社が再版を出しており、そちらも所持しているのだが、それは漢字を当用漢字に改めたものである。平凡社を創業した下中彌三郎(1878‐1961)は若い頃預言者の教えに共鳴していた時期があり、そのことが再版発行に絡んでいるような気がする。初版はもう一冊持っていて、それは顕眞學苑図書館に梅原眞隆(1885‐1966)が寄贈した本で、梅原旧蔵書の一つである。それには函がなかったので、函入を見つけることができてよかった。これで『神を成就するもの』は三冊目の購入ということになる。預言者宮崎虎之助研究者としてはまたとない僥倖だった。合掌礼拝、である。